……昨日、あの子たちにひーくんに近づかないよう言われてたんだっけ。
このまま話し続けていたら、またあの子たちに文句言われちゃうかな。
「そういえば、茜っち」
「なに?」
私たち以外は誰もいない教室。
ちいさな声でもよく響いている。
「今日の放課後残れる?」
「え、うん。残れるけど、どうしたの?」
「……これの作り方、教えてくれね?」
そう言いながら彼がいじりだしたのは、私が筆箱につけていたミサンガ。
「うん、いいよ。
あ、でも、私は糸持ってないんだけど、大丈夫?」
「俺が持ってるから大丈夫!
ありがとう、茜っち!」
そう言うと彼は私の手を上下にブンブンと振る。
……あの子たちのこと、少し気になるけど……。
やっぱり、友達に近づかないことなんて、私には無理だ。
彼の笑顔を見つめながら、私は心の中でそう思った。
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