あれだけ、傷ついたはずなのに。


……本当に私って、おかしい。


そう思って俯きかけたとき、頭の上にポンと温かいものが乗せられた。


ゆっくりと顔をあげようとした次の瞬間、私はギュッと温かいものに包まれた。


顔をあげて今置かれている状況を確認してみると、どうやら私は、川島くんの腕の中にいるみたいで……。


……え?


腕の……中?


い、今、私川島くんに抱きしめられてるの?


じわじわと熱くなっていく顔。


「……全部俺にぶつけていいよ、佐藤さん」


耳元で吐息混じりに聞こえた川島くんの声。


その声にドキドキしていると、彼はスッと私から離れて、優しい笑みを浮かべた。