「さっき、ゴミ袋持って下行くとこ見たから、今から行って来いよ。

んで、伝えて来い」


「直樹……」


「……男ならウジウジ悩んでないで、さっさと行くんだよ」


直樹が首を大げさに振って、佐藤さんのところに行くよう促す。


「……俺、行ってくる!」


いつもの元気を直樹の言葉で取り戻した俺は、教室を飛び出すと全力疾走でゴミ捨て場へと向かった。





「あっ、さ、佐藤……さん!」


前方から手ぶらで歩いてくるひとりの女子に俺は大きな声で呼びかける。


呼ばれた彼女のほうは、かなり驚いた顔を見せると、その瞬間口を大きく動かした。


それは、読唇術を持ち合わせていない俺でもはっきりと理解することができたほどだった。