「スピーーード!」


彼のかけ声でふたり同時にトランプを一枚出す。


──パタン、パタン。


台札の上に場札を重ねる。


スピードはトランプの中でも一番得意としている私だけど、川島くんが手強くて、なかなか思うように事が進まない。


ラストのところで、私の場札が三枚、川島くんの場札が二枚となった。


川島くんの持っている札は、クラブの八とクラブの三。


私が持っている札は、ハートの九とダイヤの十、ハートの十一だった。


上手くいけば、私の勝ちだ。


「スピーーード!」


川島くんのかけ声に合わせて、トランプを出す。


川島くんが出した札はクラブの四。


そして、私の出した札はハートの七。


あっと思ったのもつかの間、川島くんは両手を使って自分の手札をゼロにした。