だけど、その横にいた颯太が、意外なことを口にした。
「いいじゃん、直樹。四人で遊ぼうよ。
そしたら、明日は特別なバレンタインになるし」
「なっ!」といつもの笑みを私たちに見せる彼。
その笑みに茜の顔が赤く染まったことは、言うまでもない。
「……特別なバレンタインってのは、意味不明だけど……。
……行くよ、じゃあ。どうせ、明日は暇だしな」
首に手を当てて、そっぽを向く直樹。
その言葉はいかにも〝仕方なく〟といった感じだが、実際は違う。
……直樹のあの癖が出るのは、ツンツンして素直になれないとき。
直樹は、恥ずかしいときや照れてるとき、素直に言えないときなんかはよく、首に手を当てながら、そっぽを向いちゃうんだ。



