「えっと、ふたりとも大丈夫か?」
遅れて後ろから、不安そうにたずねてくる加藤。
「うん、大丈夫」
私が力強く頷くと、安堵のため息をこぼす彼。
「よかった……」
「じゃあ、私たち行くね」
さっきからずっと黙りっぱなしの茜の手を引いて、教室へと向かう私。
三歩ほど歩いてから、先ほどの女の子の「加藤くん」と呼ぶ声が聞こえ、ふたりが知り合いなんだと知らされる。
……私も、どこかで見たような気もするんだけど、名前がどうしても思い浮かばない。
誰だったっけ……。
そこまで考えてから、すぐに自分のやるべきことを思い出す私。
……こんなこと考えてる暇なんてなかったわ。
早く直樹たち見つけなきゃ。
どこにいるのかと考えながら、階段を上る。



