「……じゃあ、適当に配ってくからな」
徳原くんはそう言うと、ひーくん、颯太くん、私、優乃ちゃん、徳原くんの順でトランプを配っていった。
「……三枚余ったけど、いる人ー」
十枚ずつ山札を配り終えた徳原くんが、私たちにそうたずねる。
「あ、じゃあ俺もらう」
「俺も」
颯太くんとひーくんはほぼ同時に手を挙げると、快く山札を受け取った。
……私ももらっておこうかな。
「徳原く……」
「ほい、茜」
颯太くんは私の言葉を遮ると、山札を二枚受け取り、私の前に差し出した。
「……茜なら、欲しいんじゃないかと思って。
どっちがいい?」
「あ……、じゃあこっちで」
……すごいな、颯太くん。
私の気持ち、わかっちゃったんだ。
颯太くんに感心したところで、ババ抜きは始まった。
十一枚もあるのに、五人だからか意外にも揃わなくて。
場に置く札の枚数は、四枚ほどしかなかった。



