「うん!」
「……そうだな」
颯太くんは紙を握りしめたまま立ち上がる。
そういえば、まだあの紙のこと颯太くんに聞いてなかったな……。
「ねぇ、颯太くん」
「ん?」
「その紙のこと、聞かせてもらってもいい?」
颯太くんの紙を指差しながら、たずねる私。
「……あぁ。この紙は、元々表札に貼ってたものなんだ。
父さんがいた頃は俺の苗字は岡田だったんだけど、離婚して母さんの苗字に変わったから……。
だから、この紙を表札に貼ってたんだ。
……まぁ、風で飛ばされちゃったみたいだけど……」
「そうだったんだ……」
……そういえば、ひーくんの苗字って岡田だったっけ。
少し考えればわかったはずなのに、バカだな私。



