「おはよう!優乃ちゃん、徳原くん、ひーくん!」
私が自分の声でみんなに挨拶を返すと、みんなは目を丸くさせて驚いた。
「茜、声……」
「うん、出せるようになったの!……わっ!」
「茜~!!」
ギュウッと力いっぱい抱きしめてくる優乃ちゃん。
私はよろめき、その場にしりもちをついてしまった。
「よかったな、佐藤」
「茜っちの声が戻ってきてよかった……」
ふたりは、優しい瞳で私たちを見つめる。
「うん……。ありがとう」
「本当におめでとう、茜」
私がふたりにお礼を告げると、颯太くんは私の目の前にしゃがみこみ、手のひらを前に出した。
これは、きっと……。
──パチン。
「ありがとう、颯太くん!」
乾いた音が部屋中に響く。
ハイタッチが終わっても、私と颯太くんはお互いの瞳を見つめたまま、笑いあっていた。



