「……表札の説明はあとでするから、とりあえず三階の俺の部屋に行こう」
「うん、わかった」
颯太くんが階段のほうへと向かうので、私はその後ろをついていくことに。
「……三階まであるって、お家広いんだね」
少し急な階段を上りながら、颯太くんの背中に話しかける。
「あぁー……、四人で住むにはこれくらいがいいんじゃないかって、父さんが言って……」
お母さんに気を遣ってか、小声で話す颯太くん。
「そうなんだ……」
今、颯太くんに辛い気持ちにさせちゃったかな……。
「ここだよ」
三階まで上りきると、颯太くんは一番奥の部屋まで私を案内してくれた。
扉を開けなくても、聞こえてくる優乃ちゃんたちの声。
「みんな、茜が来たぞー」
扉を開けると同時に、颯太くんが大きな声で室内にいるみんなに声をかけた。
「おぉー、茜!おはよー」
「おはよう、佐藤」
「茜っち、おはよう」
トランプをしている三人が、私に朝の挨拶をする。



