『くっつく?』
「もしかして茜、気づいてなかった?
アイツら、両思いなんだよ。
正確にいえば、両片思いだけど……」
りょ、りょうおもい?りょうかたおもい?
未知の言葉を聞いた私は、頭がハテナになってしまった。
『颯太くん、〝りょうおもい〟とか〝りょうかたおもい〟ってなに?』
「えっ!茜、知らないの!?」
颯太くんが驚いたように立ち上がる。
「どうした、颯太?
急に立ち上がって」
「あー、なんでもない……」
徳原くんに問いかけられた彼は、おとなしく座りこんだ。
「両思いっていうのは、おたがいがおたがいのことを好きってこと」
好き……?
私にだけ聞こえるように、颯太くんは言った。
「片思いは一方的に相手のことを好きってことで……。
両片思いはそのあいだ。
つまり、おたがい好きだけど、相手の気持ちには気づいていない状態ってことかな」
颯太くんがわかりやすく解説してくれているなか、私は頭を捻らせていた。



