一口飲むと、口いっぱいにリンゴの香りが広がった。


いつもと変わらぬアップルジュースの味。


だけど、いつもよりも優しい味がしたような気がした。


「……そういや、優乃の缶ジュースは直樹が買ったのか?」


オレンジジュースで一息ついた颯太くんが不思議そうな声でふたりにたずねる。


「まぁな。コイツ自分からついてきたくせに、一円も金持ってないってなって……」


クックと笑い始める徳原くん。


「も、持ってると思ってたんだもん!仕方ないじゃん!

誰にでもある間違いでしょ?!」


バカにしたように笑う徳原くんを見て、優乃ちゃんは顔を真っ赤にした。