「……はい、ハンカチ」


え……?


「どんな夢見てたのかは知らないけど、とりあえず涙拭きなよ」


そう言われて、頬に手を当てる私。


すると、たしかに手の甲には水滴が付着した。


『ありがとう』


いつかのときと同じように、颯太くんからハンカチを受け取る私。


「……優乃と直樹は今、ジュース買いに行ってるよ」


『そうなんだ』


「うん。……あのさ、茜はあんま溜め込まないようにしなよ?」


一呼吸置くと、颯太くんは明るめにそう言った。


『……溜め込む?』


「うん。茜、いつも辛いこと溜め込んでるから。

……たまには俺にぶつけろよ」


ぶっきらぼうにそう言われ、胸がキュンと音を立てた。