優乃ちゃんが、いろは歌で鬼を決めようと言うのだ。
徳原くんと私が抜け、残るは優乃ちゃんと颯太くん。
「じゃあ、やるよ!
いーろーはーにーほーへーと、ちーりぬるを!」
一瞬の沈黙。
「はい、颯太が鬼ね!」
優乃ちゃんの手は優乃ちゃんの靴の上で止まり、颯太くんが鬼に。
先ほど足を置いていた場所に缶を置くと、優乃ちゃんがそれを思いっきり蹴り飛ばした。
空高く舞い上がる缶は、クルクルと方向を変え、地面へと落下した。
「茜、早く隠れよ!」
ボーッと缶を見ていた私に優乃ちゃんが呼びかける。
颯太くんは缶を拾うともとの位置に置き、倉庫を壁にして、カウントを始めた。
「一、二、三……」
「ほら、行くよ」
小声でそう言われ、私は優乃ちゃんについていった。



