「なんかって、なにが……」


「合川 (あいかわ) 先生、お前のこと探してるらしいぞ」


合川先生は、私たちの担任の先生。


そんな先生の名前が出た途端、優乃ちゃんの表情がみるみると変わった。


「えっ!ウソッ!

もしかして、宿題のこと?それとも昨日の掃除のことかな?!」


「俺に聞くなよ。

つーか、心当たりありすぎだろ」


はぁ……、とため息をこぼす彼。


「それで合川先生は!?」


「知らね。早く行ってこいよ、うるさいから」


徳原くんのその言葉にいつものような反論はすることなく、優乃ちゃんは猛スピードで廊下を駆け出した。