颯太くんは少しの間をあけると、すぐにポンと私の頭の上に自分の手を乗せた。
そして、その手をゆっくりと動かし、私の頭を撫でた。
『颯太くん、急にどうしたの?』
至近距離に彼の顔があるからか、私の胸のドキドキは大きくなる一方だった。
「……ちょっと、触れたくなった」
え?触れたくなった?
それって、どういう意味……?
頭の中がハテナでいっぱいになっていた、そのとき──……。
──ガラッ。
勢いよく扉が開く音がして、私と颯太くんは同時に音のするほうに目を向けた。
「ちょっ、颯太!茜になにしてんの!?」
教室にやってきたのは、先ほど出ていった優乃ちゃんだった。



