「あ、ちょっとお母さん、その辺ブラブラしてくるね」
「はーい」
声が出せない私の代わりに優乃ちゃんが返事をする。
「うーん、やっぱりイチゴと生クリームは神!
いつ食べても美味しんだもん……」
クレープを見つめながら、うっとりした声で話す優乃ちゃん。
「でもやっぱり、甘いもの食べたら塩系のもの欲しくなるよね」
なんて言いながら、優乃ちゃんの視線は自然と徳原くんのほうへ……。
「……やんねーからな」
その視線の意味を察したらしい徳原くんは、クレープを優乃ちゃんのいないほうにサッと移動させる。
「……ケチ」
不服そうな顔のまま、視線をもとに戻す優乃ちゃん。
私の……いるかな?
そっと優乃ちゃんにクレープを近づける。



