ゆっくりとベンチに腰を下ろした私は、身体の横のほんの少しのスペースにジュースを置く。
久しぶりのクレープにわくわくしながらかぶりつく。
すると口いっぱいにピザソース風味のツナとチーズの味が広がった。
やっぱり、美味しいなぁ。
「茜のそれはなんて言うクレープなの?」
私が喜びに浸っていると、横に座っている颯太くんが私に質問を投げかけた。
『ツナピザチーズだよ』
両手が塞がっていたから、ゆっくりと口パクで伝えた。
「そうなんだ。美味しそうだね」
その言葉に、私は笑顔で頷いた。
「みんなが喜んでくれたみたいでよかったね、茜」
ボソッと耳元で嬉しそうに呟くお母さん。
私はそれにちいさく頷く。



