するとそのとき、列に並ぶお母さんの姿が目に入って。


私に気がついたお母さんが軽く手招きをした。


『お母さんに呼ばれたから、ちょっと行ってくるね』


「行ってらっしゃい」


手話マスターの優乃ちゃんが私にひらひらと手を振ったのを見届けてから、私はお母さんの元へと向かった。


『お母さん、どうかしたの?』


「あ、ごめんね。茜。

飲み物はなにがいいか聞きそびれちゃったから、聞いてきてもらえる?」


『わかった』


私はそう伝えるとすぐにみんなのところに戻り、飲み物はなにがいいかたずねた。


「私、アップルジュース!」


「俺はカルピスで」


「じゃあ、俺もカルピスで」


私は頭のなかでその言葉をリピートさせると、お母さんのところに戻った。