クレープ屋のワゴンを見つけると、お母さんは他の人の邪魔にならないところに自転車を止める。
「今日は一段と人が多いわね」
お母さんは口元に手を持っていくと、驚いたように呟いた。
この駅前のクレープ屋さんは美味しいと評判ですごく人気なんだ。
今日は長蛇の列ができてしまっている。
「みんな、なんのクレープがいい?」
振り向いてみんなに問いかけるお母さん。
少しだけ流れる沈黙のあと、優乃ちゃんが口を開いた。
「私は、イチゴと生クリームのでお願いします」
「俺は、バナナ&チョコでお願いします」
「……俺はツナとチーズで」
「よし、わかったわ。
茜はいつものでいい?」
みんなの注文を覚えたお母さんが、私に問いかける。
私はその問いかけに大きく頷いた。



