颯太くん!?
私が驚きを隠せずにいると、視線に気がついたのか、彼は私たちのもとへ足早にやってきた。
「……颯太、下手すぎ」
「いやだって、ボールが言うこと聞いてくれねーんだもん」
颯太くんは自分のボールを指差して、ブーブーと文句を言った。
『多分それは、ボールのせいじゃないと思うよ、颯太くん』
私の手話を読みとると、うーんと唸る彼。
「そうかなー?」
「本当に兄弟揃って、バスケ以外はダメダメだね」
「……悪かったな」
優乃ちゃんの言葉が図星だったのか、彼はそっぽを向いて、軽く拗ねてしまった。
どう励まそうかと悩んでいると、後ろから先生の声が聞こえた。



