罪を犯した織姫と、傷を背負った彦星は。



文化祭まであと1週間……。


高校生活最後の文化祭だから。

―――先生と一緒に過ごせる、最後の文化祭だから。

私は、一切手を抜きたくないんだ。

ボールを蹴る音や砂を踏み走る靴音を聞きながら、瞼の裏で文化祭の成功をイメージしていると。


「――――――海野さ、――っ…!」


突然声をかけられ顔を勢いよく上げる。


「はいっ!」


するとコートの近くに立っていた先生が振り返りこちらを向いていた。

その距離は表情が読み取れるほどで、そんなに離れてはいない。

先生は少し驚いたように眉毛をあげ、目を見開いた。そしてすぐに、困ったように眉を寄せた。

え……? 

私今、呼ばれたんだよね……?

「…ごめん、海野。大丈夫か?体調悪い?」

「何がごめんなんですか?体調は全然大丈夫ですよ」


突然誤ってきた先生に私はおかしくて笑ってしまう。

ただ、先生が、私の名前を呼んだだけなのに。


「あ、いや。大丈夫ならいいんだ。体調悪くなったらいつでも言えよ」