お店には10分もしないで到着した。
引き戸を開くと、中から大きな声で「いらっしゃいませー!」と歓迎の声が聞こえてくる。
受付にいた私たちと同じぐらいの年代のお姉さんに一花が名前を伝えると「平野様ですね」と言って席へと案内してくれた。
そこは薄暗い個室だった。
入り口から一番遠い所に大野、ハルちゃん、翔という順番で座り、その向かい側に一花と私で並んで座った。
居酒屋は照明が暗い所が多く、また、個室だとより一層密な会話が出来るため、小学生の頃に作った秘密基地の中にいるような感覚になる。
木々が生い茂る裏山の一角に、自分たちで作り上げた秘密基地。木の枝や石ころで境界線を作って、縄張りを確保し、作戦会議をする。
あの頃の私たちは何の作戦を立てていたのかすら覚えてないけれど、休み時間という貴重な時間を使って何かに夢中になっていたのだ。
なんて幼いが故の情熱を少し思い出した。
最初にドリンクだけ注文し、届くまでの間に食べ物を決めた。
ドリンクはすぐに届いた。
男子3人は生ビール。私と一花はカシスオレンジを注文していた。
「それじゃあ、乾杯の音頭は変わらず大野で!」



