地下を抜ければ、自分の香水の匂いが都会匂いにかき消される。都会の匂いって何と言われれば、うまく説明は出来ないのだけれど。
「……」
「……」
車の行き交う音。人々の足音。話し声。様々な音が、世界を賑わせる。
しかし私と翔は、それとは反対に何を話していいか分からず無言のまま進む。
赤信号に引っ掛かったところで、少しだけ視線をこちらに向けながら翔が口を開いた。
「……元気だった?」
私は目線を一瞬だけ合わせて、すぐに前を向いた。なんだか、翔じゃない気がして少し恥ずかしい気持ちになる。
「…うん。中学卒業以来だね」
「そうだな。もう卒業してから6年が経つのか……。早いな」



