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「母さん!手伝うよ!」



「あらあらレイン…いつもありがとう。」




病弱な母さんだった。





父さんは仕事でずっと家には居らず年に1度会うか会わないかくらいの人で、正直俺は父さんより母さんが好きだった。





…誕生日の日すら、帰ってこない人。





それでも母さんはその人のことを“優しい人”だと言い続けた。






「母さん、父さんは覚えてるのかなぁ。」


11歳の誕生日の日。



「絶対、覚えてるわよ。おめでとうレイン、今日は私がお父さんの役まで果たしてみせるわ!」



「本当に?!」




その日も2人でパーティーをした。





「父さんってどんな人なの?」


「お父さんはね…優しい人よ。」




優しい人なのになんで帰ってきてくれないのか。




「じゃあなんで、母さんの病気を知ってて帰ってこないの?」



何度も質問をして困らせた。