「すごい…」



左眼から血を流したエシリアは、痛みなど忘れ戦闘に魅入っていた。



「…いえ、他の幹部は俺以上に強いですよ。」




「こわっ!」



血を拭うとエシリアは少し擽ったそうに笑う。



エシリアの髪は死神の黒なんかじゃなく…美しく、芯のある黒だった。





「…来ませんか?CROWNへ。」



ジルさんもきっと、歓迎してくれる。




「いい、の?」




目線を逸らすエシリア。


…もう嫌われるのは懲り懲りなんだろう。





「CROWNはエシリアを嫌いになったりしませんよ。」



こんな俺でも、受け入れてくれた。





「行きましょう。」






あれから街に戻ると、白い霧の中水の音が聞こえた。






「…臭いも消えてる。」




どうやら水も、臭いもあの死神達がした事のようだ。







「じゃあ行きましょうか、エシリア。」





「うん!」




相変わらずの眼帯。



でもその目にもう曇りはなく、光はさした。