「俺は今まで通り“ジルさん”を演じる。それを壊すかどうかはレイン…お前次第だよ。」




そう言ってアイツは家を出ていった。

…傷ついた母さんを抱き上げて。





「なんのつもりだ…」




戻らなければ、みんなが心配だ。でも…





「…どうすれば…」



みんなの“ジルさん”を奪ってしまえばいい?



悪者に…なりきってしまえばいい?





「…っくそ…!!」




あの時。


俺に力があれば……







“レイン、そのままで父さんを倒せると思うか?”






…適わない。







「こんな血さえ、なければ。」







こんな呪われた血さえ…流れてなければ…──。