埃かぶったリビングの椅子に座ると、ギィ…と錆びた玄関の開く音がした。
コツコツと、土足で踏み込む。
…誰か、なんて…
「おかえり、レイン。」
変わらない、大好きだった…その白くて長い髪でわかる。
「ただいま…母さん。」
近づいてくる母さんを拒まず俺は、椅子から動かない。
…母さんじゃないとわかっていても。
「レイン…大きくなったのね。」
声色も、話し方もあの時のまま。
こんなんじゃ…俺がおかしいみたいだ。
「ごめんね…守ってあげられなくて。」
未だに残る、上書きされた傷。
それは俺の背中に残る…一生消えやしないもの。
守ってあげられなくて?
「…自分がしたくせに、よく言えるな。」
これも今、アイツがやっていること。
全部全部…踊らされているだけのこと。


