~Emma~



そう書かれた墓石はズレて、遺骨はなくなっている。




「…母さん。」



俺はどうしたらいい?




知りたくないことを知ってしまった時…どうすればいいんだろう。




まだ幼くて、聞けなかったことが沢山ある。





「教えて…」




あの時の笑みも、なにもかも…わからない。

あの人がしようとしていることもわからない。





「あの人は、いつからあんなに…」



墓石を抱きしめても当たり前にあの温かい体温は感じられない。






“…レイン、俺はたくさんの人を救いに出る。”




救いってなんだ。




アイツが母さんにしたことも“救い”というのならそれまでなのか…?





「…雨…か。」




俺の代わりに泣いているように雨はいつも降る。




レイン…その名前の意味を、理解しているかのように。