気付いた時には遅かった。


周りに、誰も、いない。


初めは違和感だった。


どこかよそよそしい態度で、それは気のせいだと思い込んでいた。


思いっきり出鼻をくじかれた。


私には、部活における居場所がなかった。


どこかでおかしいと思い続けていた。


それが、夏合宿の終わった中学一年の二学期になって具体的な形をもって私に迫った。


「おはよう」


休日練習の時に同級生に挨拶をすると、返事がおかしいか、返ってこない。


聞こえていないのかも、と思ってその時は終わった。


昼ごはんを食べる時になって、私には誰も近寄らない。


……私、一人だ。


その時、朝から発した言葉が「おはよう」と部活の掛け声だけだったことに気付いた。


喋る相手がいない。


というより、喋ることを忘れていた。


会話をしなくても、困らなかった。


ただただその事実に驚き、呆然とした。