「亮ちゃん?? あ、お箸、取り換えてもらうね?」

いつもなら不機嫌そうなのが津田さんで、亮ちゃんはポーカーフェイスなのに。見れば津田さんはどこか涼しそうでいるし。
押し黙っちゃった亮ちゃんに、取りあえず自分が思ったことは伝えておこうと「あのね」とわたしから切り出した。

「ナオにも言われてるんだけど、やっぱり一人だとみんなに心配かけちゃうって思うの。でも亮ちゃん以外の男の人と住むのは、自分でもどうかって思ってるし。ただ・・・津田さんだったら、ほら、単なる飼育係みたいなもので、全然そういうんじゃないでしょう? だから亮ちゃんがいいって言ってくれたら考えてみようかなって」

パキン。二度目の箸が折れる音。・・・今度は津田さん?? そんなに力が入っちゃうほど、カニが美味しかったの??

「・・・明里の考えは分かった」

口許に手をやり渋そうな表情でそう答えた亮ちゃん。

「この件は俺が預かって津田に返事をしておく。それでいいな?」

コクコク。頷き返す。
目が合った津田さんはなにか言いたそうにわたしを一瞥していた。




お腹いっぱいに料理も堪能して、家まで送ってもらうだけって思ってら。

「・・・明里、寄って行くか?」

亮ちゃんが言ってくれたから。耳が立って、尻尾もパタパタ。