「お疲れさまです」

彼がうちに来て、ナオから散々わたしのことを頼まれて帰ったのはつい一昨日。新年の挨拶は済んでるし、だから普通に。

「たまにはあんたから俺を探せ。でなきゃ次は首輪付きだ」

隣りの空いた椅子に脚を組んで座り、津田さんは上から目線で無茶を言う。

「・・・社長には挨拶したんですか?」

話を誤魔化して思い付いたことを訊くと。

「これからあんたを連れてな」

不本意そうに返った。
えぇと。・・・いつもなんだか、ごめんなさい?

「・・・そういや家出るんだろ?」

「あ・・・はい」

亮ちゃんが話したのかな。視線を傾げて。

「(亮ちゃんに)探してもらってるんですけど、なかなか(亮ちゃんが)納得できる物件がないみたいで・・・」

「ふーん」

気が無い返事にもうこの話は終わりかと思ったら。

「あんたにピッタリなのがあるから、そこに決めろ」

億劫そうに。でも有無を言わせない空気で続きがあった。