白いテーブルクロスがかかった幾つかの円卓に並んだオードブルやカナッペ、フルーツ、デザートを自分のお皿に取り分けて楽しむ。食事っていうよりお酒のおつまみ的な感じで、あとでお腹は空きそう。

忘年会で席が一緒だったマーケティング課の湯原さんが声を掛けてきて、初野さんと三人でしばらく食べながらお喋り。話題のほとんどが津田さんとわたしのことだったから、曖昧に誤魔化すのが大変で疲れた。・・・どうして他人のことにそんなに興味深々なんだろう。

お手洗いに立って戻ったら、やっぱり先輩たち二人は姿が見えない。ようやく解放された気分で壁際にずらりと置かれた椅子の一つに腰掛け、大きく見渡してみた。
幾つものグループが出来あがって、大きな笑い声や歓声がどこからともなく湧き上がってる。会場の前の方の人だかりは多分、社長や亮ちゃん達の輪。去年は津田さんと一緒に挨拶に行ったけど。一人で行く勇気は当然ないから遠慮しておこうかな。

そんなことをぼんやり考えていたら。目の前の視界が濃紺のスーツを着た誰かに塞がれた。

「・・・うろうろするな小動物」

見上げた不機嫌そうな顔はやっぱり津田さんだった。