「お願いがあるの」

ベッドに移って胸元に抱き込まれながら、わたしは亮ちゃんに言った。

「・・・亮ちゃんがどこに行っても、待ってろって言うなら何年でも待ってる」

だから。

「行くときは黙っていなくならないで・・・・・・」

手がかりを残してくれないまま置き去りにされるのは本当に辛い。途方に暮れて、あても無くて。ほんの少しでいい、確かなものがあれば。

「・・・ああ分かった・・・」

わたしの髪に顔を埋めるようにして亮ちゃんが呟いた。

「約束する。・・・明里こそさっきの約束は守れ」

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・」


夜通し亮ちゃんの腕に掴まえられて。赦してって懇願しかしてなかったように思う。あんな責め方されたら、ごめんなさいって観念するしかない。・・・ずるい。




カーテンの透き間から差し込む陽の光りにぼんやり時間を辿る。隣りには静かな寝息を立ててる亮ちゃんの背中。・・・緋色の花が鮮やかな。

いつか。どうしてこうしようって決めたのか訊いてもいいのかな・・・。
そっとおでこを寄せて。
わたしはずっとこの花を裏切れない亮ちゃんに寄り添う。
わたしも誓う、亮ちゃんの背中に。

死が二人を別つまで愛し続けます。・・・って。