「・・・・・・分かってくれ明里。グランド・グローバルを辞めて津田とも関わりを断て。今ならまだ間に合う、お前はこっち側には来るな。・・・俺を想うなら」

言い切った最後は切願されているようだった。

亮ちゃんの気持ちが痛いほど伝わってくる、身を切られてるみたいに。もう。わたしも亮ちゃんも傷だらけ。お互いを想ってるだけなのに、愛してるだけなのに。

うん、て頷いて。
分かったって云えたら。
どんなに亮ちゃんを楽にしてあげられるだろうって思う。
どっちが本当の愛なのかって。

心が千切れそうに軋む。

わたしは亮ちゃんに自分の命をもっと惜しんで欲しかった。捨て身になる覚悟より、生き抜く覚悟を忘れて欲しくない。道を外れた自分は死んで当然みたいに、思って欲しくない。
真面目な優等生で、あんなに親思いの亮ちゃんこそが。本当は今の自分を一番赦せないんだろうってことぐらい、わたしは分かってる。

だから。

近くにいればわたしを守るために『生きる』ことに執着してくれるって。妹としてでも構わない。今でも大事にしてくれてる亮ちゃんが、わたしを放っておけるはずがないから。まるで死に急ぎたがってる亮ちゃんの歯止めになりたかった。どうしても。