「もう話は終わりでしょう。・・・こいつを引き取って帰ります」

亮ちゃんに視線を戻し、淡々と締めくくった津田さんに肩を抱き寄せられて。わたしは自分の置かれている状況を飲み込めずに、ただ茫然と見上げるだけ。

「帰るぞ」

「・・・え? でも、あの・・・っ」

有無を言わせず、わたしごとソファから立ち上がった彼。

「津田・・・!」

制止するかのような亮ちゃんの低い声が放たれて、津田さんの足が止まった。

「なんです?」

「・・・どういうつもりだ」

「言ったとおりですが」

二人の間に冷ややかな空気が流れるのを固唾を呑んで。

「俺がどうしようと『関係のない』話でしょう。・・・日下さんがそう言ったんですよ、この女に」

押し黙った亮ちゃんの気配が変わった。
まるで見えない導火線に火花が弾けたみたいに。