ぽすん、とベッドの上に仰向けになって目を瞑る。きっと云わないけどお父さんも心配してるんだろう。そう思ったら涙が滲んだ。
 
 亮ちゃんを忘れて、自分も新しい恋を見つけて結婚する。ナオもお父さんも安心する。ユカも喜んでくれる。亮ちゃんも・・・望んでる。分かってる。そうできるものなら。

 でも、もう遅いの、無理なの。亮ちゃん以外の誰かのために生きることは出来ないの。心が動かないの、どこにも。
 いっそナオに、後悔はしてないって胸を張って言えるぐらい、全部を亮ちゃんにあげたいの・・・!


 真っ直ぐ頭の天辺から突き抜けた願い。刹那、違うものが流れていた躰に脈打つ血が通い始めた。気がした。


『後悔はしたくない』




 目を開け、もう一度その言葉を自分に呟いて。ゆっくりと息を紡ぐように深呼吸をした。