亮ちゃんはわたしを抱いてくれた。
 ホテルに部屋を取って、最初から最後まで大事に抱いてもらった。
 わたしは。亮ちゃんに『あいしてる』って言い続けた。
 亮ちゃんの耳に刻みつけておきたかった。
 

 何度もなんどもキスをした。
 躰中、亮ちゃんの指と舌におかしくされて。
 息遣いも熱も激しさも全部。わたしの中に刻んでもらった。

 

 ひたすらに求め合って繋がり合った。
 泣いても止めないでってお願いした。


『明里』

 
 亮ちゃんの声が切れ切れに。呼んでは繰り返した。
 

 わたしの髪を撫で、頬を撫で。額に瞼に、口付けを落とした。
 
 
 胸に、脚の付け根にいくつも紅い花を散らせた。



 忘れろって言ったくせに。
 忘れるな・・・って。言ってるみたいだった。 





 紫の花を咲かせた背中は亮ちゃんの覚悟。
 生き様をつらぬくための覚悟。

 わたしにはどこまでも優しくて臆病なその背中を。
 
 
 抱き締めさせてほしかった。この先もずっと。
 亮ちゃんのそばで。