臆病な背中で恋をした ~2

正午近くまで明里を抱き込んだまま、ベッドの中で微睡み。陽も傾いてきた頃、頼んでもなかったが迎えが来た。

「ほら帰るぞ」

玄関先で、俺の胸元にすがりついて離れない明里に、津田が業を煮やしていた。
ほんの少し優越感に満たされ、頭の天辺に口付けながら低く囁いた。

「約束しただろう、・・・いい子にしていろ」

小さく躰を震わせ、ようやく離れた明里の目は赤かった。
このまま帰さずにおきたい衝動に駆られる。・・・だが今は駄目だ・・・。感情を押し殺す。

「津田。・・・明里を頼む」

「承知してます」

俺を窺うような視線を送り、津田は明里を促してあっさりとドアの向こう側に消えていった。



静けさが戻ると急に、体の半分が空洞になった。
今夜はこれから、ひと仕事ある。明里の温もりを流しきらなければ。
服を脱ぎ捨て、バスルームで頭から熱めのシャワーを浴びる。

あのとき殺しておけばよかったと、いつか後悔する日がくるかもしれない。
自嘲の笑みを逃して。


俺は心を闇色に戻した。



【Fin】