臆病な背中で恋をした ~2

こんな小さな体のどこから、死を厭わない覚悟が生まれるのか。
お前はどうして、こんなに穢れきった俺を愛そうとするのか。
歯噛みして、眸を歪めた。
明里を振りほどくように抱き返し、きつく腕の中に閉じ込める。

「お前を死なせたくない。・・・だがいつかきっと、俺は明里を道連れにする。いっそ今なら明里は俺だけを思って死ぬ、俺だけのものになる。・・・それだけの理由だ」

最低なエゴイズムだ。こういう人間になった、俺は。
お前に愛される資格なんてない。
赦さなくていい、見限っていい。

胸の奥でなにかが裂かれたような音を聴く。
そこから流れ出た黒い血が、ゆっくりと細胞を侵していく気がした。

「亮ちゃん」

硬い声がして、自分から体を離した明里が胸元から顔を上げた。

「わたし、もう津田さんのところには帰らない」

まだあどけない昔の面影を残しているのに俺を気圧すほど、眼差しに強い光りを宿していた。

「ずっと亮ちゃんのそばにいる。だから亮ちゃんが連れていきたいところに連れてって。いつだって亮ちゃんを思って一緒に死ぬから、離さないで。わたしをいま殺すくらいなら、そうして。お願い亮ちゃん」