臆病な背中で恋をした ~2

一緒に風呂から上がった明里の髪を乾かしてやり、俺のシャツを羽織らせて先にベッドに運んだ。あとから寝室に入ると、羽毛布団に埋もれるようにすっかり寝入っていた。

俺に応えようと、必死に体を開いてすがりついていた明里。かなり無理をさせた自覚もある。なのに無防備な姿を晒されているだけで、また欲情がわき上がる。泣かせて欲しがらせたくなる。

「・・・・・・不様だな」

端に腰を下ろして自嘲の笑みを歪め、明里の寝顔を見つめる。

またしばらく会ってやれなくなる。
・・・・・・いや。いつ二度と会えなくなるか。この部屋を出るたび思うことだ、帰っては来ないかもしれないと。

帰りたくても帰れなかった人を知っている。
愛する女と子供を残して、無念の死を遂げた人を知っている。
何を思っただろう。
俺はそのとき何を思うだろう。
明里を残して死ねないと、足掻くだろうか。
お前の幸せを願って死ねるだろうか。

お前を抱けて幸せだったと笑えるだろうか。