あんな小動物のどこに惚れたんだか。自分に呆れるときもある。
あれは日下さんの女で、手に入れるには骨が折れる。面倒すぎる。

なのに。意地なんだか欲なんだか。

俺から逃がしたくない。
愛だの恋だのじゃなくてもいい、理由なんてどうでもいい。
俺に支配されて、感謝して、俺ナシで生きていけなくなればいい。

もっと限界まで追い詰めて、壊すときは優しくしてやる。
突き落として、抱き留めてやる。


日下さんより(そば)で。飽きるほどお前を甘やかしてやる。


だから。



俺にしろ。



心の中で吐き捨てた。





「・・・・・・殺しちまう方が楽かもな」

何とはなしに呟いて、俺は立ち止まり。エレベーターのボタンに手を伸ばした。