二人の間の空気が一瞬だけ引き締まった。みたいな。
亮ちゃんは口角を上げ、挑むように眼差しを細める。

「下手に一人暮らしをさせて虫が寄りつくのも面倒だ。素人に手を出すと厄介だが、津田が相手なら埋めようが沈めようが、気が咎めずに済む」

「・・・相変わらず本音が鬼畜ですね」

ちらっとわたしを一瞥した津田さんは軽く肩を竦めていた。
話してることがよく分からないけど、・・・なんか亮ちゃんが真下社長化してる・・・?

「明里」

こっちに向き直り、わたしの頬に手を伸ばした時の亮ちゃんは柔らかい眸。

「出来る限り時間を作ってやるから、我慢して待ってるんだぞ」

「うん・・・!」

嬉しかったのと切なかったのとで、思わず亮ちゃんの体にきゅっと抱き付き、名残りを惜しむ。
髪を撫でてもらい、頭の天辺とおでこにキスが落ちて。亮ちゃんは帰って行った。