ぷるぷると首を横に振る。

「・・・ま、せっかく飼育係に指名して貰えたことだしな。気長に調教してやるさ」

億劫そうに溜め息を吐いた彼がキッチンに向かった。

「明里も珈琲でいいだろ」

「あ、はい!」

返事をしてから気が付いた。今『あかり』って。
嫌な気持ちはしなかった。強いて言うなら聞き慣れない違和感? 手塚って呼ばれる方がしっくりくる。

「あの津田さん」

「なに?」

「えぇと、手塚って呼んでみてください」

「・・・・・・・・・」

あれ?

「あのぅ?」

「何だ、手塚」

うん。

「そっちの方がいいです」

言ったら、ものすごく冷たい眼で睨まれた。