「龍樹くん」

「なんだよ」

「別れた理由ってそんなに大事かな?」


惨めすぎる私の口から別れたい理由を言わせるって……酷だと思うんだけど。

直接言うくらいなら、やっぱりどんなに恥ずかしくてもイタイ奴でも、あの長文メッセージ送っておくべきだった。


「別れたっていうな。別れてねーだろ、まだ。別れるっつーのはな、お互いの同意があってから決定するもんだ」


フン、と吐き捨てるように、

『何言ってんだ』って感じの顔をした龍樹くんに、

やはりさっきは有り得ないと思った考えが、

つい

口から出た。


「まさか龍樹くん、別れたくない……の?」


ーーこの、馬鹿!!!!

なわけないのに! 馬鹿!

思考回路も馬鹿なら口まで馬鹿になったか!

なんて、冷静になった自分を心の中で叱咤しても時すでに遅し、で。


『何言ってんだ、お前』って顔をした龍樹くんが目の前にはいて。


「ごめんなさい、嘘です。ジョーダンです」

と謝るしかなかった。


「千夏……」

「馬鹿です!! ごめん!」

「今更何言ってんだ、昨日も送ったろ、そう」

「本当に調子に乗っ……

えっ?」

「【無理】って、送ったろ。無理の意味くらい知ってるだろ?」