「なんか、私に怒ってる…?」


ってこと? 背中の壁の冷たさをひんやりと感じつつ、刺激をしないように、言葉を選んで龍樹くんに質問。

でも、そんな私の言葉のチョイスは完全に間違っていたらしい。


「はっ?」



フロアが違う龍樹くんは朝一で私の所属する部署のフロアにきて、私の右腕を掴み、会議室に連れ込んだ。

……仕事の用事でないことくらい、私にもわかる。

元々怒っていたのに

これまで見たことないくらい怒ってたのに

『なんか、私に怒ってる?』という発言のせいだろうか、ここまで怖い顔できたの?! とびっくりするくらい怖い顔が完成した。


「龍樹くん、怖い……よ?」


言葉のチョイスが下手くそだから、もう何も言うまい。と思っていたのに、この憎たらしい口から出るのは煽り言葉。

と思っていたら、


「お前……ほんっとうに、自分勝手だよ」


龍樹くんからも煽られた。