そうやって想いをつのりにつのらせた学園生活も、9月下旬となった頃。亡くなった。彼女が大好きだったお祖母ちゃんが、亡くなった。彼女はお祖母ちゃん子だったから、より悲しみが深かった。勿論、彼女は悲しんだ、泣いて、顔をぐしゃぐしゃにしていた。
 彼女が母よりさきに病室を出ると、病室前の青いイスに男性が座っていた。年は明らかに若い。黒いパーカーに灰色の長ズボン、顔はマスクをしていてよく見ることができない、まるで不審者のような格好をしていたのだ。