朝、目が覚めてリビングに行ったけれどそこに咲夜の姿はもう無かった。



夜は遅くて朝は早いのか。そんな事を思いながらいつのまにかテーブルに置かれていた朝食を口に運ぶ。



急いで身支度をして家を出て来たけれど、よくよく考えたらここは会社のすぐそばだ。歩いて五分てところか。なんなら高層ビルってだけあって窓から会社が見えるほどの近さだ。



こんなに早く出なくても良かったかな。



社員証を通してゲートをくぐるとエレベーター前に大和先輩がいるのが見えて、その隣で足を止める。



「大和先輩、おはようございます」



「おぉ、椎名。おはよう」



「朝早いんですね、意外です」


「意外って失礼だな。今日までの書類朝一で片付けたくて早く来たんだよ」


「新しい企画案のですか?そう言えば参加メンバー今日発表でしたよね」



大和先輩は、いわゆる出来る男というやつで。周りからの人望も厚くうちの課では若いメンバーの中でダントツの期待の星だ。


私はそんな大和先輩の補佐的役をやる事が何かと多く、新入社員として入ってから大和先輩とは何度も同じチームで働いている。


そして今日は新しい大きなプロジェクトの参加メンバーの発表があって。プロジェクトリーダー、チームリーダー、プロジェクトメンバーが発表させるのだ。



プロジェクトリーダーというのは、そのプロジェクト全部を指揮する人。チームリーダーはより良いプロジェクトを作るためにいくつか班を作り競い合う。そのリーダーがチームリーダーだ。
そして、そのチームの中で選ばれた企画案のみがプロジェクトに起用される。