昼休み。歯磨きを終えて席に着いた。いつものように本を読もうとした時だった。
「花菜!」
廊下を見ると、翼が居た。私は彼の元へ向かう。
「翼、どうしたの?」
「今日も遊ぼうよ。あの場所で……」
あの場所とは、きっと秘密基地のことだろう。
「うん。勉強教えてね」
「オッケー!」
翼はニコッと笑った。やっぱり、愛しく感じる。
「先輩!」
翼に声をかけたのは、同じクラスの河村駿だった。駿は翼と同じサッカー部で、先輩後輩で仲が良い。
「何でコイツと仲良いっすか?」
「ちょっと、いろいろあってね」
駿は翼の返答に顔を歪ませた。翼はそんな駿に呆れた顔をしていた。
「まぁ、いいだろ。あっち行け」
「先輩、ひでぇー」
翼は駿を無視して、私の方は向く。翼は少しはにかんだ表情をしていた。
「今日も頑張ろうな。あとで」
「うん、またあとでね」
翼は走って行く。その姿も愛しく感じる。
やっぱり、好きなんだ。君のことが。
気付いてしまったんだ。
もう私は君に心を奪われてしまったよ。



