次の日の朝。下駄箱にはまた小さな手紙が入っていた。中身は見る気も無くて、制服のポケットに仕舞った。


「じゃあな、花菜」


「うん、またね」


廊下で翼と挨拶を交わすと、私は教室に入って自分の席に座った。風間くんは友達と仲良く話していたのを見て少し安心した。


一応、中身は見た方が良いのだろうか。そう思って開くと、私は目を見開いた。


『今日は最期の日だよ。静かに死んでね』


震えが止まらなかった。それを見兼ねたのか、風間くんが私のところに近寄ってきた。風間くんはその文字を見て黙ってしまう。


「恐ろしい、こんなことするなんて……」


息が徐々に荒くなっていく。怖い、怖い。最悪なことが起こりそうで怖い。


もしかしたら、私は殺されるかもしれない。そんな恐怖を抱いていた。


「風間くん、私……殺されるのかな」


私が問うように呟くと、風間くんは苦悶の表情を見せていた。彼もさぞかし驚いているのだろう。


どうしよう。翼を巻き込みたくない。茜先輩は翼の幼なじみだから尚更だ。


「俺も隠れて見ているから」


「でも……」


風間くんがストーカーのようなことをしていると翼に怒られるかもしれない。申し訳なさに私は俯いた。


「俺らは友達だろ?友達が辛い思いをしてたら助けるのが当然だろ」


風間くんは優しく笑って私の頭を撫でた。少し恐怖が溶けた気がする。


「ありがとう……」


私が礼を伝えると、風間くんは小さく微笑んで立ち上がった。


「大丈夫。いじめからだけなら俺は守れるから」


そう言って風間くんは自分の席へ戻って行った。ドラマでありそうなことを言われると少し気が狂わされる。彼が私のことが好きと知っているから余計に恥ずかしい気持ちになる。


私は彼の横顔を見た後、本を読み始めた。